神田BSの有馬です。
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
特に、有期雇用労働者に関する「パートタイム有期雇用労働法」には、労働条件通知書の内容・賃金水準・契約の更新などの重要なルールが定められています。
改めて注意すべきポイントを解説します。
（１）労働条件通知書の事前の提示・更新条項・相談窓口の記載が必要
まず労働基準法上の原則として、法律で定められた項目を掲載した労働条件通知書を、契約の開始時までに必ず文書かメール等の送付で提示する必要があります。
また労働条件通知書には、有期雇用の方についてのみ適用される、注意が必要なルールが2点あります。
契約満了時に契約の更新の有無、また更新条件がある場合はその内容を明記します。
・注意が必要なルール2：社内で雇用管理に関する相談窓口を設け、責任者と電話番号等を明記すること
さらに、2024年4月には労働条件通知書の法改正が予定されており、新たな項目の明示が求められます。
「職務内容と業務の場所の変更内容を追記する」という全ての労働者に適応されるルールが追加されるほか、アルバイトや契約社員など有期雇用の方のみに追加で適用されるルールとしては以下があります。
契約更新の上限回数を設定しているか、設定しているならその内容を明示することです。
・追加されるルール2：「無期転換申込機会」及び「無期転換後の労働条件」の明示
通算した就業期間が5年に達すると希望があれば無期雇用に転換する義務が発生しますが、契約期間内にその機会があるか、もしあれば時期と申込方法、またその後の労働条件が変更されるならその内容を明示する必要があります。
（２）雇止めする場合の事前予告が必要
有期労働契約において「3回更新する場合」もしくは「1年以上継続して勤務した方を次の契約更新時に雇止めする場合」は、30日以上前の予告が必要となります。
尚、前提事項になりますが、そもそも事業主には上記の予告とは別に、契約期間をできる限り長くするように努める義務があることも忘れないようにしましょう。
（３）アルバイト・契約社員は解雇しやすいわけではない
労働基準法の原則でよく誤解される事項となりますが、有期雇用労働者の方は解雇しやすいわけではありません。
特に、契約期間内は「やむを得ない事情」がないと契約途中での解雇等はできません。
この「やむを得ない事情」は判例等をみても簡単なものではありませんので、契約期間にもよく配慮して雇用することが求められます。
こちらの2つのパターンには特に注意する必要があります。
（１）無期雇用の労働者と同じ水準の賃金支払いや待遇が必要な場合がある
無期雇用の労働者（正社員）と同じような労働内容の契約社員・アルバイト社員については、その労働の部分については同一水準の賃金を支払う必要があります。
また、契約社員の方などが同じ働き方をしている場合、休暇や福利厚生や労働条件などについても同一なものが求められる趣旨の判例もあります。
したがって、契約形態の異なる労働者が同じ業務を行っている職場では注意が必要です。
（２）賃金や待遇に差異がある場合、その理由を採用時や質問時に説明する必要がある
賃金や待遇の差異がある場合、採用時や質問時に説明をする義務があります。
尚、紙面の発行は義務ではありませんが、説明記録を残すためには賃金や待遇の差異に関する紙面発行を行う方が万全だと言えます。
アルバイトや契約社員などの有期雇用労働者の方の待遇改善や雇用については社会的にも注目されており、雇用に当たっては注意が必要な点が多いと思われます。
今回は、注意すべきルールの代表例を挙げましたが、詳細な整備あたっては留意事項が多いため、社会保険労務士などの専門家の助言も活用しながら対応していくとよいでしょう。
